『患者さんの声』のコーナーは当院院長などの著書や医療雑誌から抜粋しております。 (出版社が患者さんを調査した内容ものです)
70代・男性・元国家公務員
この男性は、脊柱管狭窄症の代表的な症状・間欠性跛行で100メートルも歩け ないほどの状態でした。歩き出してしばらくすると、左右両方の足裏に〝針で刺す ようなしびれ″が出るのです。診断を受けた病院から手術をすすめられたものの、 「どうしても手術はしたくない」と言って来院されました。 これまでの腰痛歴をうかがうと、昔からぎつくり腰を繰り返し、こむら返りも頻 繁に起こつていたと言います。さらに現在の状態を考慮すると、本書のセルフチェ ック結果に当てはめるなら、潜在的には【坐骨神経痛タイプA】の要素もありつつ、 【坐骨神経痛タイプB】 の傾向が少し強いミックスタイプに相当します。 タイプBの傾向が強いのですから、下半身はいつも冷えていて、外出先での冷気 にもきわめて敏感でした。そこで毎日、39度くらいの湯に10分以上浸かって全身を 温めてもらうとともに、「基本のストレッチ」3種類や「テーブルで腰丸め体操」をこまめに実践してもらいました。 また、「ひざ抱え体操」でも脊柱管の狭まっているスペースを広げる作用がありますが、さらに外出先でもできる有効手段として、日常的に腕を組む習慣などを取り入れるように指導しました。 その結果、3カ月後には足裏のしびれが消え、冷えやこむら返りも無縁な状態に。 間欠性跛行の症状もほぼなくなり、休憩なしで50分も歩けるはどになりました。 ちなみに、椎間板ヘルニアからくる 【坐骨神経痛タイプA】の傾向が強い場合は、 適切なケアで短期間に治ることもありますが、このかたのように 【坐骨神経痛タイ プB】 の傾向が強いと、もう少し時間がかかるケースが多いものです。しかし、正 しいケアを続ければ、痛み・しびれは必ずよくなることを象徴している実例です。
60代・女性・主婦
この女性は、椎間板ヘルニアによるひどい腰痛と坐骨神経痛で、過去に当院へい らっしやつたことがあります。そのときは、施術とセルフケアが奏効し、痛みを解 消できました。しかし、久しぶりにお電話があり、「すみません、私が余計なこと をしたばっかりに……」と泣いていらっしやるのです。 話を聞くと、ヘルニアの痛みの解消後は、孫の面倒や家事にも精を出せるように なり、趣味でホットヨガを始めたそうです。冷えは坐骨神経痛にも腰痛にも大敵な ので、ホットヨガは悪くはないのですが、行ったポーズに問題がありました。 座った状態で大きく開脚し、上半身を床にベタッとつけるように前屈した途端、 激しい腰痛と坐骨神経痛が再発したのです。本書のタイプ分類では【坐骨神経痛タ イプA】 に相当し、本書の「症状の進行・悪化の目安」ではレベル5の状態で す。地元ですぐに手術を受けたそうですが、腰の痛みは取れたものの、太もも全体 にしびれ・違和感が残ってしまい、後悔のあまりお電話をくださったのです。 私は、椎間板ヘルニアに由来する神経圧迫への対策として、特に「おっとせい体 操」をおすすめし、できる範囲で「仙腸関節ストレッチ」や「テーブルで腰反らし体操」「脚L字ストレッチ」を実践してもらいました。また、家事の草むしりなどで股関節を深く 屈曲させたしゃがみ姿勢を取ると、腸腰筋や大腿四頭筋などの筋肉に負担がかかり、 坐骨神経痛を増幅させる恐れがあるので避けるようにお伝えしました。 再び電話連絡を受けたのは、10日後のこと。こうしてセルフケアと日常生活のエ 夫をしただけで、しつこく残っていた脚のしびれは感じなくなったそうです。 私は電話で指導しただけですから、まさに自分で治した例と言えるでしょう。
60代・女性・元体育教師
「以前は腰痛や坐骨神経痛に悩まされていましたが、今はもう痛みはなくなりまし た。でも、左脚のひざ下がうまく動かせません。スリッパはよく脱げるし、階段を 下りるのも怖くて……。でも、治したいんです」と相談にいらした女性です。 つまり、坐骨神経の支配する感覚・知覚に関わる障害がなくなった一方、〃より 重症〃の運動に関わる障害だけが残ったという珍しいケースでした。 大学病院も受診されていて、神経速度反応を測ってもらったところ、反応速度が 遅く、異常ありと診断されたそうです。しかし、さんざん検査されたあげく、「筋 トレしてください」と言われただけ。そこで、当院へいらっしやつたのでした。 実際に足首を見せてもらうと、確かにご自身ではほぼ動かせないような状態。当 院でもさまざまなチェックをした末、まずは以前あったという腰痛に着目し、腰の 血流や神経の流れを改善することから始めました。 具体的には、「関節包内矯正」 の手技による施術で、仙腸関節の調整を真っ先に 行いました。この関節包内矯正の理論に基づく施術法は、〝狙った関節〟 の動きを よくすると同時に、周囲の血液・神経の流れをよくする効果があります。本書にあ るセルフケア法でも、テニスボールを使って実践するストレッチは、この関節包内 矯正の施術を誰もが簡単に実践できるよう改良したものです。さらに念のため、首 や左ひざの関節の調整や、体外再度圧力波も行いました。 すると、左脚のひざ下が、その場でスッと動くようになったのです。 その後、「基本のストレッチ」3種類や「排骨頭矯正」「太もも伸ばしストレッチ」などを2カ月続けてもらったところ、左の足首は思い通りに動かせるほど回復されたのです。
50代・女性・医師
このかたは、左の腰に椎間板ヘルニアが確認され、脊柱管狭窄症の診断も受けた ことがある女性で、左太ももの後ろ側や前側のしびれが悪化して来院されました。 内科医として長時間座って診療を続けていると、常にしびれがある太ももの裏側 がさらにヒリビリと痛くなり、座り続けるのがつらいと言います。また、車の運転 も長時間はできないそうです。 これらの症状や、さらなる問診などから、ヘルニアと狭窄症のダブルの診断を受 けてはいるものの、ひどいしびれは主にヘルニアが原因と判断できました。 セルフチェックにもあるように、「座位がつらい」 「常にしびれがある」という のは、椎間板ヘルニアによる【坐骨神経痛タイプA】 の典型的な症状です。 また、左の股関節に変形性股関節症があるとのことで、左の股関節の可動域 (動 く範囲)が狭くなり、股関節から脚全体が外旋した結果、左斜め前に偏った重心が 左のヘルニアを悪化させたとも考えられました。さらに、股関節の可動域が狭くな ったことが、太ももの前側周辺にある筋肉を収縮・硬化させた可能性も大です。 そこで、まずは、左の股関節の可動域を広げつつ、〃股関節を安定させよう〃 と 無意識に力が入っていた太もも・お尻の筋肉を緩める施術を行いました。 ご自宅では、「基本のストレッチ」3種類に加え、「お尻ストレッチ」で中臀筋というお尻の筋肉を重点的に緩めてもらい、「太もも伸ばしストレッチ」も実践してもらいました。 また、患者さんを問診する際の体のひねりかたを従来とは逆にして、アンバラン スな重心を矯正する工夫も取り入れました。 その結果、約1週間で、坐骨神経痛の全症状が気にならないほど消失したのです。
40代・女性・主婦
この女性は、ドイツから来院されました。右太ももの外側~前側にかけて坐骨神 経痛のしびれ・麻痺しているような感覚があり、腰痛はほとんどない状態でした。 ドイツでは複数の大病院で診てもらい、MRIの画像検査で、仙骨の上部の骨が 大きく割れ、前方に位置がズレた「すべり症」の診断を受けていました。ある病院 では手術をすすめられ、別の病院では経過観察をすすめられたそうです。 実際にMRI検査の画像を見せてもらうと、私でも驚いてしまうほどの〃すべり 度合い〃でした。ただし、話をよくよく問いてみると、ひどい転倒や尻もちの経験 はゼロ。専門的な分析の目安となる、「すべっている部位」と「しびれの発生部 位」との関連性もなし。さらに、過去の腰痛歴を問うと、20年以上前に長時間座り っばなしの仕事をしていた頃にも腰痛があったとのこと。 つまり、すべり症による【坐骨神経痛タイプB】と、椎間板ヘルニアによる【坐 骨神経痛タイプA】 の要素が交じったミックスタイプの典型例だったのです。 現状では、第3腰椎や第4腰椎、仙腸関節の異常がしびれを生み出している可能 性が高いため、まずは腰椎と仙腸関節を調整するための施術を行いました。本書に あるセルフケア法で言えば、「おっとせい体操」「ひざ抱え体操」や「仙腸関節ストレッチ」 を手技で行ったのと同じことです。また、しびれている部位の収縮・硬化した筋肉を緩めるため、「体外再生圧力波」による治療を行いました。 すると、なんとその日の夜に、「しびれが消えました!」と電話がきました。「手 術しかない」とも言われた腰痛からきた坐骨神経痛が、即座に治まったのです。 今でもドイツからメールをくださいますが、まったく再発していないそうです。
60代・男性・会社員
この男性は20年来の腰痛持ちで、いくつもの病院・整形外科にかかっては、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と診断されていたそうです。 私のもとに来たときには、右腰の痛みに加え、右脚全体に常にしびれがあるような状態でした。 私はまず、それまでに″椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の原因″と病院で指摘された骨の変形は、変形だけなら60代の9割に見られる現象なので心配不要とお伝えしました。 そのうえで、坐骨神経痛の原因である腰痛、さらにその腰痛の根本原因を探ると、 仙腸関節の機能不全に行き当たりました。このかたの場合は、右側の仙腸関節がほ とんど動かず、おかげで歩くときには右に偏った重心になり、全身の右側にさまざ まなトラブルを招いていたわけです。 ですから早速、動きが悪くなっていた右側の仙腸関節を緩める施術を行い、自宅 でも「仙腸関節ストレッチ」を行ってもらいました。 また、毎日のデスクワークでは、2時間に1回くらいの頻度で「腰ひねりストレ ッチ」を実践してもらい、仕事中はイスに深く座ることも心がけてもらいました。すると、約2週間後の3回目の来院時には、右脚全体に広がっていたしびれが消えていて、腰の痛みや重だるさも大幅に改善されていたのです。 ちなみに、このかたは趣味でウオーキングをされていたので、その際は右肩が下 がらないように気を配りつつ、特に右腰を後ろにひねるような意識で歩くようにお 願いしました。本書の内容を、そのまま実行したということです。 ストレッチと、日常生活上の工夫をすることで、相乗効果が現れた好例です。
30代・男性・会社員
「あんなに苦しい思いは、もう二度と経験したくありません」 普段はあまり病院に行かないというこの男性は、体の右側に激しい腰痛と坐骨神 経痛が現れて、たまらず救急車を呼び、総合病院に運ばれました。 ただし病院では、痛み止めの点滴をしてもらっただけで、ほかの処置はなし。結 局、数日間の安静指示を受け、処方された鎮痛薬を片手に帰宅したそうです。 その後、3日経っても症状が変わらず、私の治療院にいらっしやいました。 このときは歩くことすら困難で、なんとか立ってもらって姿勢を確認すると、体 はかなり右側にゆがんでいました。さらに、脊椎(背骨)を前後の観点から見ると、 本来描いているはずのS字カーブが失われ、ほぼ実っすぐな状態。腰やお尻周りの 筋肉はカチカチに張っていて、咳やくしやみをすると腰に響くとのことで、「長期 間の腰痛歴があるはず」とピンときました。 男性に確認すると、本書のセルフチェックでの【坐骨神経痛タイプA】にある症 状を何度も感じていたそうです。さらに専門的なテストをすると、もともとは左側の腰に痛みがあり、その痛みをかばうためにゆがんだ姿勢を続けた結果、右側に激しい腰痛・坐骨神経痛が現れたことも判明したのです。 そこで、脊椎のゆがみを矯正する施術を行い、正しい姿勢を指導しました。 自宅では、お風呂に入って筋肉を緩めてから「仙腸関節ストレッチ」や「おっとせい体操」を積極的に行ってもらい、さらに「お尻ストレッチ」なども適宜実践してもらいました。 すると、わずか3~4日で、右側の腰痛と坐骨神経痛が消失。その後もセルフケ アを続けると、根本原因の左側の腰痛もなんと10日ほどで消えたのです。
60代・女性・主婦
このかたは、初診時に全身のいたる部位で痛みを訴えた女性です。 ご本人と付き添われたご家族の話では、全身が四六時中痛いので、自宅ではほぼ 横になつているとのこと。消炎鎮痛剤を飲み続けても効果はなく、ある病院では線 維筋痛症という病気と診断されたこともあったそうです。 しかし、この病気にほんとうに罹っているならば、私が手足に触れるだけで激痛 が走るはずで、その兆候は見られませんでした。 とはいえ、専用の特殊な機器で測定すると、自律神経のバランスが非常に悪く、 極度に交感神経が優位な状態。全身のさまざまな関節の可動域も狭く、関節・関節 周囲の筋肉などはサビついたような状態でした。 そこでまず、荷重関節(体重などの負荷がかかる重要な関節) の機能を高める施 術を行うと、体中の痛みが激減しました。おかげで、全身を霧のように覆っていた 痛みの根源が、首のストレートネックと、ひじの外側の筋肉の炎症 (上腕骨外側上 顆炎) と判明。以降の通院やセルフケアに、とても前向きになつていただけました。 まず実践していただいたのは、横になっている時間をなるべく減らし、少しずつ でも外を歩いてもらうこと。歩かないことで関節や筋肉が拘縮 (可動域が制限さ れること) して発生する痛みは、歩きすぎて現れる痛みよりも、治まりにくいもの なのです。 さらに、おふろに入るときは、お湯に首までしっかり浸かって全身を温めるよう にしてもらい、「首のテニスボール体操」 や「外ひじ伸ばしストレッチ」もできるだけ実践するように指導しました。 すると、トラブルの大本になつていた首やひじの外側の痛みも1カ月程度で取れ、 自律神経のバランスまで整って、笑顔あふれる表情に一変されたのです。
50代・男性・会社員
「先生、私の父をよろしくお願いします」 そう言って私のもとを訪れた息子さんは、50代の父親を抱きかかえるようにして いました。なぜなら、腰痛の後に足底腱膜炎になり、足裏に体重がかかると痛くて しかたなかったからです。この男性の場合は、立った姿勢で足裏に体重がかかると、 チクチクした感じの強い痛みが現れて苦しんでいました。 エラストグラフィという特殊なエコーで確認すると、足裏の筋肉や腱はかなり硬 く、炎症が発生した状態。前方寄りの重心が癖になっていて、腰椎をはじめとした 背骨の動く範囲 (可動域) も狭くなり、体を左右に回旋できないはどでした。 そこで施術後、日常生活で行えるセルフケアの方法を、何種類か指導しました。 具体的には、「仙腸関節ストレッチ」「足裏下部でテニスボールつぶし」のほか、おふろで湯に浸かりながら足裏をマッサージすることもおすすめしました。 また、この男性は、散歩をすることが趣味でした。ですから、歩くときの衝撃が 足底腱膜炎の発症の誘因とも考えられるのですが、せっかく歩くことが好きならば、 それをセルフケアに生かさない手はありません。ですから、前方寄りの重心を後方 寄りにシフトできるよう、正しい重心での歩きかたをアドバイスさせていただきま した。 この男性は、これらのセルフケアに積極的に取り組まれました。すると、初診か らlカ月後に来院された際、「足の裏のひどい痛みがなくなって、はとんど中断状 態だった散歩を再開できました。実はひざの痛みも気になり始めていたのですが、 その痛みもなくなったんです」と、報告してくださったのです。