40代・女性・主婦
この女性の場合、若いときから頑固な肩こりに悩み、40代になると両手に強いし びれまで現れたそうです。 整形外科で診てもらうと、下された診断は手根管症候群。医師からすすめられた とおりに手術を受け、その後はビタミン剤などを投与されていたといいます。しか し、一度は治った両手のしぴれが、わずか2カ月後に再発してしまいます。特に寒 い日は、指先から手のひらまでのしびれが、かなりつらかったそうです。 そこで、重度の肋間神経痛が治った友人に紹介され、私のもとに相談にいらっし ゃいました。 私が確認したところ、手根管症候群のチェックテストで陽性反応を示しただけでなく、ストレートネックがさらに悪化したスワンネックの状態になっていることは明白でした。また、「手のしびれテスト」でも痛みが出たことから、指先から手のひらまでのしびれは、手だけでなく、首の異常にも原因があると判明したのです。 そこで私は、手根管と首への手技による施術と、体外再生圧力波による治療を行いました。 ただし、このかたは関西地方在住のため、〝治療のメイン″はセルフケアです。 「首のテニスボール体操」「あご押し体操」「前腕マッサージ」を毎日継続してもらい、入浴は首まで浸かるように習慣をつけ、就寝時は枕を使わないようにしてもらいました。 その結果、1カ月半ほどでスワンネックは矯正され、頑固な肩こりはもちろん、 手のしぴれもスーツと解消。体がとても楽になったと喜んでいらっしやいます。
40代・男性・会社員
肘部管症候群による小指・薬指の痛みに加え、ストレートネックの悪影響が多 岐にわたって現れてしまった男性です。具体的には、頭痛、めまい、声が出にくい、 食べ物をのみ込みづらい、胸やあごの痛みなどの症状があり、結果的にはよく眠れ ずにうつ状態に近い段階になっていました。 日常的な生活スタイルは、通勤電車の往復でスマートフォン (スマホ) をいじり っばなし。仕事はデスクワークが中心で、パソコン画面とにらめっこしながら、キ ーボードを叩き続けているそうです。肘部管症候群の痛みが発生したのは、こうし たスマホやパソコンの長時間使用で、ひじをねじった体勢を続けていたためと考え られます。また、多種多様な不調が現れた原因=重度のストレートネックも、こうした生活を続けていたことで、首を前に突き出した前かがみの姿勢が習慣になっていたために起こつたことです。 そのため、クリニックでの施術でも、毎日のセルフケアでも、ストレートネック をメインターゲットに設定。「首のテニスボール体操」や「あご押し体操」を積極的に行ってもらい、肘部菅症候群に対しては「尺骨つかみ体操」を実践していただきました。 さらに、理想的なスマホ・パソコンの使用法もお伝えすると、自ら生活スタイルを変えることに成功されていました。 ここまでしたのですから、不調が次々と治っていくのは不思議ではありませんで した。頭痛やめまいは1回の施術で現れなくなり、肘部菅症候群による指の痛みも 1週間後に解消。声の出にくさやのみ込みづらさ、胸・あごの痛みも2週間で大幅 に改善し、ストレートネックも2カ月ほどで矯正できたのです。
20代・女性・エステティシャン
エステティシャンとして働いている彼女は、お客様への施術を日々続けているう ちに、手やひじの痛み・しびれを繰り返すようになっていました。 痛みの治療を専門とするペインクリニックを訪れると、それらのトラブルは、テ ニスひじ (上腕骨外側上顆炎)、バネ指、腱鞘炎によるものという診断。注射や 電気治療などを受けても、痛みとしびれを繰り返す生活は変わらなかったそうです。 そのため、私のクリニックに来院されました。 話を聞くと、痛みやしびれの主な原因が仕事であることは自覚していました。し かし、仕事が波に乗っている5年目、「仕事は休めない」と口にされます。そこで、 私がかなり入念に施術を行い、強い痛みが今後現れた際のテーピング法を指導しま した。すると、次の来院時、「楽になれる時間が増えてきました」と変化を報告し てくださり、「そういえば首がいちばん最初に痛くなったんですよね」と教えてく れました。どうやら、手やひじの痛み・しびれが強すぎて、首の痛みについて話す のをつい忘れてしまったようです。 そこからは、手の指やひじに加え、首への集中的なケアも開始。施術を受けても らったうえ、「外ひじ伸ばしストレッチ」「指反らしストレッチ」「親指周りマッサージ」を、体が温まる入浴中や入浴後に毎日継続してもらいました。 さらに、接客中の特有の動作・姿勢を詳しくうかがい、できる限りの工夫もアド バイスして、こちらも実践してもらいました。 これらの効果はてきめんで、初診から3週間後には首の違和感や痛みが消え、手 やひじの痛みやしびれ、動きにくさも約1カ月で見事解消されたのです。
70代・女性・主婦
私のクリニックに初めていらっしゃったとき、この女性はいくつものつらい症状 を抱えていました。 すべての発端は、右足の浮き指です。 そして、指が浮いているため、むこうずねの筋肉の張りと痛みが現れ、中指の付 け根にはタコが出現。さらに、足裏のアーチ構造が崩れていたため、何年もハイヒ ールを履いていないにもかかわらず、外反母趾の症状がどんどん進行してしまいま す。当初は、親指の付け根が出っ張って痛み、指が小指側に曲がるという”よくあ る症状″だつたのですが、次第に親指がねじれ始めてしまったのです。 加えて、こうした複数のトラブルの影響で姿勢が悪くなり、数カ月後には腰痛と ひざ痛まで感じるようになっていました。 そこで、各部位の状態はもちろん、この女性の姿勢や重心のかけかたをチェック してみると、予想どおりに前傾姿勢で、前寄りの重心。これらを矯正するため、仙 腸関節への施術を行い、普段の生活では 「仙腸関節ストレッチ」を実践してもらいました。 さらに、浮き指には 「タオルたぐり寄せ」、外反母趾にはテーピングや指を広げる習慣、むこうずねの張り・痛みにも最適なストレッチといったセルフケアを行っていただきました。 すると、ひざと腰に現れていた軽度の痛みは、半月ほどで消失。その後、従来は ほぼできなかった〝足指のコントロール〟が可能になり、2~3週間で浮き指も解 消。姿勢や重心のかけかたもよくなり、足裏のタコも消えてしまいました。 外反母趾についても、親指のねじれが矯正され、痛みは感じなくなったそうです。
70代・男性・無職
「脊柱管狭窄症だとわかっているんですが、この脚のしびれを手術以外の方法で消 すことはできないのでしょうか」 こう言って相談にみえたのは、70歳を超えた男性です。忙しく働いていた20~30 代に腰痛を繰り返していたものの、市販の鎮痛薬でしのぎながら、きちんと治療を せずに過ごしてきたとのこと。また、昔は歩くのが速かったのに、いつしか人に追 い抜かれることが増え、ここ数年で間欠性跛行(痛みやしびれで長く歩けない症 状)も現れて、趣味のゴルフではハーフを回るのも精一杯とのことでした。 お話を詳しくうかがうと、実際に病院に行ったのはかなり前に腰痛が出たときで、 脊柱管狭窄症という病名は自己診断とわかりました。”間欠性跛行がある→脊柱管 狭窄症→治すには手術しかない〟という俗説を鵜呑みにされていたのです。 問診を続けると、間欠性跛行のほかにも、「こむら返りをよく起こす」「雨が降る 前は脚のしびれが強い」など、すべり症が疑われる症状の訴えがありました。 辣突起庄痛テストで第4腰椎を押さえたときに痛みを訴えたことなど、すべてを 総合すると、すべり症の可能件がかなり高い状態でした。つまり彼は、すべり症を 原因として、脊柱管が狭窄されているはずということです。 いずれにしても、このケースでは椎骨の突起をつかみ、引きながら動かす施術を 行いました。また、その後は、「分離症・すべり症特効ストレッチ」「腰椎フラットストレッチ」「脚振りストレッチ」「タオルひねりストレッチ」 のケアを続けていただきました。 すると、こむら返り→腰痛→脚のしびれの順で症状が治まり、3カ月後には間欠 性跛行の症状も大幅に改善するに至ったのです。
50代・男性・建築業
このかたは、分離症・すべり症・脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニアのすべての診断 を受けていました。どういうことかというと、画像検査でわかったことだけを重視 され、その”画像診断名〟を腰痛の原因に決めつけられていたのです。 実際、鎮痛薬や血流改善薬などが処方されていましたが、どれも効き目なし。結 局、腰痛と右尻の痛み・重だるさに耐えかねて、私のクリニックに来院されました。 辣突起庄痛テストの痛みはありませんでした。一方、中殿皮神経の場所に痛みが見られました。お尻の筋肉も明らかに固くなつています。 がっしりした体形で、腹筋や背筋もあるため、姿勢がいいと自負されていました が、実際は前傾姿勢であったため、正しい姿勢と歩きかたを指導しました。 施術としてはまず、腰椎と仙腸関節の状態を調整。これは、「体ひねりストレッ チ」「仙腸関節ストレッチ」と同じメカニズムの施術を行ったということです。 また、これまでの酷使でコリ固まって機能低下していた、お尻の筋肉や勒帯に特 殊なケアを施しました。「体外再生圧力波」といって、問題のある組織に衝撃波を 当てて細胞の再生を促し、その組織を〝フレッシュな状態″にするというものです。 その結果、長年悩んでいた腰痛が、その場ですぐに治まってしまったのです。 さらに、日常生活中、「お尻ストレッチ」をメインにセルフケアを続けたところ、2カ月後には、お尻の痛み・重だるさもすっきり消えたのです。 念のため、以前通った病院でレントゲン・MRIの検査を受けたのですが、画像 診断の結果や病名はまったく同じ。つまり、画像結果や診断名は、痛みやしぴれを 解消・改善するうえで、あくまでも目安にすぎないということなのです。
40代・女性・事務職
「間違いなく分離症です。薬を出しますが、手術をおすすめします」 医師からそう言われたのは、40代の女性。若いときから腰痛持ちで、お尻の痛み も現れるようになったため、病院でレントゲン検査を受けたときのことでした。 しかし、ご本人には、「手術だけは避けたい」という強い思いがありました。 どんなときに症状が出るのか確認すると、デスクワークで座っているときが最も つらく、洗顔するとき・台所仕事のときにも痛みが走るとのこと。仰向けになるの も困難で、「日常の症状診断テスト」の症状Bの項目すべてが当てはまり、「前かがみになったときに痛むタイプ」の腰痛が疑われる状態でした。 そこで、辣突起庄痛テストを行ってみると、予想どおりに痛みはなし。彼女の腰 痛の「ほんとうの原因」は、分離症ではなく、椎間板の異常にあると確信しました。 画像だけで診断する医師は、レントゲンで椎骨の分離やすべりが見つかれば、 「痛みの原因もこれ」と決めつけがちで、そこに大きな問題があるのです。 エラストグラフィという特殊なエコーで確認すると、椎間板に炎症があると判明。 腰椎や仙腸関節の可動城(動く範囲)も狭くなつています。よく現れる症状も加味 すると、椎間板ヘルニアにきわめて近い状態です。 そこで施術後、歩きかたや座りかた、腰の温めかたなどを指導し、「腸腰筋スト レッチ」や「仙腸関節ストレッチ」の実践をアドバイスしました。手術を避けたい思いから、彼女は積極的に取り組んだそうです。 その結果、2カ月後には、痛みはほぼ感じないはどに大幅緩和。デスクワーク時 の腰痛もかなり軽減したそうです。まさに腰痛を自分で治した例と言えるでしょう。
40代・女性・元オリンピック選手
この女性は、世界レベルのバドミントン選手でした。 飛び上がりつつ、腰を反って強くひねるスマッシュ姿勢の影響で、現役時代に分 離症の診断を受け、痛みといつも闘っていたと教えてくれました。 現役引退後に痛みは引いたそうです。しかし、急に痛みが再発したことで、来院 されたとのことでした。そのときは、まっすぐ立っていることも困難で、腰の痛 み・脚のしびれに加え、首の右方向への傾きと痛みも現れていました。 辣突起庄痛テストを行うと痛みがあり、エラストグラフィという特殊なエコーで 見ると、分離症と痛みの原因になつている炎症を確認できました。さらに、姿勢の ゆがみによって、筋・筋膜性腰痛(腰周りの筋肉痛)も起こしている状態でした。 このかたの場合は痛みが強かったため、椎骨の辣突起の間に電気療法も行いまし たが、施術のメインは仙腸関節を緩め、椎骨を少し動かすというものです。 その内容は、「仙腸関節ストレッチ」「体ひねりストレッチ」「タオルひねりストレッチ」と同じメカニズムの施術を、少しだけ専門的なテクニックを入れて行ったということになります。 そして、これらのストレッチを自宅でも行うようにお伝えしました。 すると、痛みやしびれは数日ですぐに改善し、その後まもなく、首の傾きも気に ならないほど自然と矯正されたのです。 この女性のように、分離症やすべり症があっても、一時的に痛みを感じずに過ご しているかたは意外に多くいらっしやいます。ただし、腰を反りすぎたときや仙腸 関節の動きが悪くなったときなどに痛みが再発しやすいので、注意が必要です。
10代・男性・高校生
この男子高校生は、腰の痛みで授業中にじっと座っているのがつらくなり、やが て運動にも支障が出るようになつたそうです。そのうちに通学もできなくなり、落 ち込んでうつ傾向になつたため、親御さんが彼を連れて相談に来られました。 これまでの運動歴をうかがうと、中学時代は野球部のキャッチャーとして活躍し ていたとのこと。ただし、二塁への盗塁を防ぐ練習を1日に100回、200回と 連続して行ったことが原因で、疲労骨折による分離症と診断されたそうです。 そして、分離症の診断を受けた際、医師から「腰を絶対に反らしてはいけない」 と言われたことで、そこからは前かがみの姿勢がクセになつていました。 親御さんは分離症の再発による腰痛を疑っていましたが、辣突起庄痛テストを行 つたところ、痛みはなし。つまり、かつては分離症と診断されていても、現在感じ ている腰痛の「ほんとうの原因」は、分離症ではないということです。 日常生活で痛む場面を念のため聞いてみると、「朝起きるときや、せき・くしや みをしたとき、座っているときが痛い」といいます。 実はこれらは、椎間板ヘルニアの特徴的な症状で、左のお尻にしびれやだるさま で感じ始めたとのことで、症状が進んでいると考えられました。 そこで、彼の椎間板ヘルニアに適した施術を行い、自宅では「仙腸関節ストレッ チ」や「脚振りストレッチ」を毎日行ってもらいつつ、″ヘルニア向けの姿勢〟も実践してもらうようにしました。 すると、目に見えて症状が改善していき、2~3週間で痛み・しびれ・だるさが 消失。表情まで別人のように明るくなり、学校にも通えるようになったのです。
10代・女性・中学生
このかたは、クラシックバレエを習っている中学生です。週に5回もレッスンを 受けるほど本格的に取り組んでいましたが、腰痛のせいでうまく踊れなくなったそ うです。バレリーナやダンサー、アナウンサーなど、人前に立つ仕事のかたによく あることなのですが、彼女の姿勢は ″腰を反った状態″それが腰痛の一因である ことは明らかでした。 実際に診てみると、辣突起庄痛テストの結果は「痛みあり」。腰をあえて反らせ て痛みが出る角度をチェックすると、通常よりも浅い角度で強い痛みを訴えます。 ただし、脚のしびれやお尻の重だるさはなく、分離症に特有の状態でした。 分離症の場合、コルセットによる固定が効果的です。 このときは、腰椎・仙骨のラインを整えてから固定しました。「分離症・すべり 症特効ストレッチ」や「腰椎フラットストレッチ」と同様のことを、施術として行ったということです。 そして、今後のコルセットの使いかた、ストレッチのやりかた、日常生活の送りかたなどもアドバイスし、なるべく実践してもらいました。 その結果、およそ1カ月で腰の痛みはきれいになくなり、現在は普段の姿勢で腰 を反りすぎないように気をつけつつ、バレエに情熱を注いでいます。いつも付き添 われていたご両親も、とても喜ばれています。 今回のようにお子さんが腰痛を訴えたときは、時間を変えて何度か痛い場所を指 で示させてみてください。同じ場所を指差せば、それは″ほんとうに痛い″という ことです。腰の真ん中の痛みの有無には、気を配るようにしてください。