60代・男性
姿勢をよくして脊柱管狭窄症を克服し、ホノルルマラソンを完走。 この方は会社の執行役員で、会議などの続く多忙な毎日をお過ごしです。一方 で体を動かすこともお好きで、10年ほど前から体力維持のためジョギングを開始。 走る楽しさにのめり込み、フルマラソンのレースにもよく参加されていました。 ところが、2年前に200km超を走るウルトラマラソンに初めて挑んだとこ ろ、右腰に痛みを発症してしまいました。病院でMRIを撮り、脊柱管狭窄症、 神経根症と診断。治療を続けていましたが、症状はなかなか改善しませんでした。 当院に来られたときには、右腰と右下肢に痛みとしびれが強くあり、朝、薬を飲 むものの、夕方には効きめが切れてつらくなる、という毎日でいらっしやいました。 体のバランスを看させていただいたところ、かなりのストレートネック。そし て骨盤が後傾し、腰に大きな負担がかかっていました。 そこで、まずはしっかり首を後ろに引くこと、腰を起こしてよい姿勢を意識す ることが重要であることをお話しし、納得していただきました。 そこから治療とセルフケアが始まったのですが、この方にはひとつ目標があり ました。それは、「毎年出場しているホノルルマラソンを今年も走る」という目 標です。この目標を達成するための治療計画を立て、自宅でもテニスボールスト レッチや関節ウォーキングに取り組んでいただきました。人一倍がんばられる方 でしたので、症状は順調に改善。走れる距離も徐々に延びていきました。 そしてついにホノルルマラソン出場を果たし、見事完走! しかもタイムは自 己最高に迫る好成績です。いまでは薬も飲まず、仕事にもジョギングにも精力的 に取り組む毎日。姿勢を変えれば症状の克服は可能だという素晴らしい例です。
29歳・女性・会社員
いったい、どうして私の体はこんなにボロボロになってしまったんだろう……Y枝さんは 自分のことながら不思議な気がします。 勤めている会社が業績不振に陥って、いつ人員整理が始まるか、いつ倒産するかという状 況に立たされて、ストレスを抱え込んでいたのは事実です。もし、職を失ったらこの先どう しようと思うと、不安でたまりませんでしたし、夜もろくに眠れませんでした。でも、「こ ういうときだからこそ、心を強く持たなきゃ」と自分に言い聞かせて、必死に仕事をがんば ってきたのです。 腰に鈍い痛みを感じるようになったのは、その頃からのこと。朝、腰が痛くてなかなか起 きられず、どうにか会社へ行っても依然として痛みが治まらないのです。そこで整形外科で 診てもらったのですが、骨には何も異常がなく、医師からは「別になんともありませんよ、気のせいじゃないですか」と言われてしまいました。Y枝さんは、"こんなにつらいのに、 気のせいなんてことがあるものか″と内心憤慨しましたが、痛みの原因がわからなくては対 処のしようもありません。 それに、トラブルはまだ始まりにすぎなかったのです。腰が痛いのを我慢しながら仕事を しているうちに、Y枝さんは、肩こりや吐き気、頭痛、めまいなどの不調にしばしば悩まさ れるようになってきました。本当に、頭のてっぺんから足の先まで不調だらけのような状態。 あっちもこっちも痛かったりつらかったりで、気が休まる間もありません。しかも、体調が 悪いと仕事の能率が落ち、〝まずい、もっとがんばらなきゃ″と思うと、いっそう体調が悪 化してくるのです。腰の痛みも以前よりもずっと悪化したような気がします。このままでは 仕事どころじゃないと感じたY枝さんは、別のもっと大きな病院を受診。整形外科ではやは り「異常なし」でしたが、医師から同じ病院内の心療内科の受診を勧められました。そして、 そこで「自律神経失調症」と診断されたのです。 心療内科の医師によれば、「腰痛などの不調が現れるのはストレスのせいでしょう」との こと。けれども、Y枝さんは納得がいきません。"これって、心の病気ということ? これ までずっと不安に負けないように心を強く持ってがんばってきたのに……なのにどうして !?〟という気持ちでいっぱいです。 Y枝さんは今、心療内科の治療を始めてみるか、それとも、違う病院に相談してみるかを 検討中。なんだか、いつのまにか自分が迷路に入ってしまったような気がしています。 では、自律神経失調による腰痛には、どんな対処をするのが適切なのか。 私は、やはり心療内科を受診して、適切な治療を受けることをおすすめします。腰痛をは じめとした症状を引き起こしている原因は「ストレス」なのですから、まずはその事実をし っかり受け止めるべき。そのうえで、心理療法、カウンセリング、薬物治療など、ストレス をやわらげて、自律神経のバランスを回復させるための治療を受けるようにすべきでしょう。 もっとも、私の患者さんのなかには、よその病院で「自律神経失調症による腰痛」と診断 されていた方が関節包内矯正を受けて治った例もあります。この場合、もともとの整形外科 の検査において小さなヘルニアや椎間板症が見逃されていたものと考えられます。つまり、 仙腸関節の機能を回復させて「見逃されていた本当の痛みの原因」を解消させたために、腰 痛症状が消えたわけです。 また、関節包内矯正には、多少ではありますが自律神経のバランスをよくする作用もあり ます。別のところで、仙腸関節を締めると交感神経が優位になり、ゆるめると副交感神経が優位 になる傾向があることについて述べましたが、この作用によって、自律神経失調による腰痛 症状が多少やわらいでくることもあるのです。 それと、もうひとつつけ加えておくと、あまり心配しすぎないことが大切です。自律神経失調による腰痛を訴える方には、かなり心配症の人が目立ちます。腰の痛みに対しても、不 安をふくらませすぎてしまう傾向が見られるのです。ただ、あまりナーバスになっていると、 かえって痛みに過敏になってきてしまうもの。腰痛は今すぐ命に関わるような病気ではない のですから、気を大きく持ったり開き直ったりして、意識して楽観的に構える姿勢も必要な のではないでしょうか。 いずれにしても、自律神経失調による腰痛に対しては、「心」と「腰」の両面からアプロ ーチする姿勢が必要だと思います。心が不調であれば、腰も不調になりがちですし、腰が不 調であれば、心も不調に陥りがちなもの。ぜひ、「心と腰はつながっている」というつもり で治療やケアを進めるようにしていくといいでしょう。
57歳・女性・主婦
C代さんにとって、今年のお正月は楽しい一年の始まりになるはずでした。昨年、夫が定 年退職し、また、娘に待望の初孫が生まれ、いろいろな節目を記念して、年末年始の休みを 利用して娘夫婦と一緒に温泉旅行へ行こうということになっていたのです。 ところが、予定が近づくにつれ、C代さんの腰痛が悪化してしまったのです。以前から椎 間板ヘルニアがあり、足腰に痛みやしびれがあったのですが、こんなに長く調子が悪いのは 初めて。以前経験していた症状とは明らかに違う痛み方をするようになり、体を反ったり背 筋を伸ばしたりすると足腰に痛みやしびれが走るようになつてきたのです。しかも、長く歩 いていると痛みがひどくなってくるし、寒いときに外に出ると痛みがいっそう増してきます。 やむなく温泉旅行はキャンセルし、自宅でみんなでゆっくりお正月を迎えることになったの ですが、自分のせいで旅行が不意になったと思うと、C代さんはみんなに申し訳ない気持ち でいっぱいでした。 しかも、台所に立っておせち料理をつくるのにも腰が痛むし、歩き始めた孫の遊び相手を しているときも足腰がしびれてくる。家族で記念写真を撮ろうというときも、しゃんと腰を 伸ばすと痛みが走る……そんなこんなで、楽しいはずのお正月が腰痛のせいで台無しになっ てしまったような気がしました。家族のみんなは「お母さんも歳をとったな」と笑っていま したが、心中は笑いごとでは済まないような気持ちだったのです。 短いお正月が過ぎ、娘夫婦と孫が帰っていくと、さっそくC代さんは整形外科を受診。そ こで「脊柱管狭窄症」と診断されました。ヘルニア持ちのうえ、さらなる腰痛を背負い込む ハメになってしまったことはショックでした。"このまま足腰が衰えて、だんだん歩けなく なっていくのだろうか〟"いつまで孫の遊び相手ができるだろうか″と少し悲観的な想像を 働かせてしまう今日この頃です。 では、どんな対策をとればいいのでしょうか。 まず、脊柱管狭窄症では、痛まない姿勢のポイントを見つけることがたいへん重要になり ます。そして、たとえ痛くとも、小まめに歩くことが大事です。腰を反りすぎずに、体の重 心を前のほうにかけて歩くクセをつけるだけでもだいぶ違うはず。そういう痛みの出ないポ イントを把握したうえで、できるだけ活動度を落とさずに動き回るようにしてください。私 はコルセットをしてでもいいから、歩くことをおすすめしています。前かがみの状態に合わ せたコルセットを装着すると、痛くないポイントを見つけやすくなり、比較的ラクに歩くコ ツをつかむことが可能です。 また、体を丸める体操を行うのも効果的です。私はこ れを「ねこ体操」と呼んでいます。正座の姿勢から体を丸め、ねこが丸まるように上体を前 方へ伸ばしていくのです。行うときは、丸めたバスタオルをおなかに挟み、数回繰り返すと いいでしょう。この体操を習慣づけていると、狭くなつた脊柱管スペースがだんだん広げら れ、症状の緩和へとつながるのです。 それと、脊柱管狭窄症は寒いときや体が冷えたときに悪化しやすいので、しっかり冷え対 策をとることも大事です。ゆっくりお風呂に浸かる、携帯用のカイロなどで温めるなど、患 部を温めて血流をよくすることを心がけるようにしてください。 さらに、脊柱管狭窄症の症状の撃退には、関節包内矯正がたいへん有効です。仙腸関節の 機能を回復させると、脊柱管への圧迫が緩和されて痛みが軽減しますし、治療時に体重が前 寄りにかかるように仙骨の角度を調整しますので、痛みを気にせず、ラクに歩けるようにな るのです。 脊柱管狭窄症の治療では、手術という選択肢もありますが、これは全身麻酔のうえ、背中 を切開し、腰椎を削って脊柱管を広げていくという大手術。しかも、手術後に痛みやしびれ が残る場合もあるので、そう簡単にはおすすめできません。 私は、日頃の生活習慣での対策を徹底するとともに、定期的に関節包内矯正を受けること が、脊柱管狭窄症の悩みを解決するもっとも正しいアプローチだと考えています。C代さん も、早めにこうした対策をとれば、足腰の痛みやしびれに患わされることなく、長く健康な 老後を過ごせるはずです。
37歳・女性・パート勤務
K子さんは地域でもちょっと有名な"元気印″の主婦。週4日のショッピングセンターで のパート勤務、子どもの学校のPTA活動、町内会の打ち合わせ、30代になってから始めた フラダンス教室通いと、道行く人に笑顔であいさつを交わしながら、いつも忙しそうに自転 車であちこちを飛び回っています。 ところが、そんなパワフルなK子さんも、このところ少し表情が陰り気味。それというの も、しつこい腰の痛みに悩まされていたのです。その症状は、腰の真ん中やお尻が痛くなる というもの。とくに仕事や家事で疲れがたまったとき、朝、ふとんから出ようとするとき、 腰を上げて動き出そうとするときなどに、決まって痛くなります。こうしょっちゅう腰痛に 見舞われていては、自慢のフットワークや行動力も生かせません。持ち前の明るさにも影響 が出ようというものです。 じつは、K子さんは、腰痛に対して苦い思い出がありました。 K子さんは、小さい頃から活発で運動神経がよく、いつも友達の輪の中心にいるような子 どもでした。中学生のときには、バレーボール部で大活躍をして、エースアタッカーでキャ プテン。県大会で優勝し、全国大会でも6位に入るという好成績を残しました。そして、高 校もバレーの強豪校に進学してバレー部に入部。1年生のときからレギュラーとなって、周 囲から大きな期待を寄せられていたのです。 ところが、1年生の夏の大会時に腰痛が発覚。腰の真ん中が痛く、とくに体を反ると痛み が走るため、ボールをアタックすることができなくなつてしまったのです。整形外科を受診 すると、「腰椎分離症」という診断で、腰椎に部分骨折が見られるとのこと。なかでもショ ックだったのは、「残念だけど、この先、もうバレーボールは続けられないね」という医師 の言葉でした。そのときは無念さのあまり涙を流し、腰痛という病気にうらみのような感情 さえ抱いたものでした。 そんな20年前の嫌な記憶がK子さんの頭によみがえつてきたのです。 整形外科を受診すると、やはり20年前と同じように「腰椎分離症」という病名を告げられ ました。医師の話によれば、子どもの頃に激しいスポーツをしていた人が、中年以降になっ てこの腰痛になるケースが多いとのこと。K子さんは"この腰痛、いったい、いつまで私の 人生を引っ掻き回してくれるのかしら″と、憤洒やるかたない様子です。 では、どんな対策をとればいいのでしょう。 「若年性」の場合では、コルセットが有効と申し上げましたが、「加齢性」の場合は、残念な がらそれほどの有効性はありません。というのも、若いときと比べて骨がくっつきにくくな っているからです。 ただ、「若年性」と同様、関節包内矯正は有効です。加齢性腰椎分離症・すべり症の患者 さんも仙腸関節にロッキングがあるケースが少なくなく、〝引っかかり″をはずして痛みの 逃げ道をつくるだけでもかなり症状が軽減するのです。それに、このタイプの腰痛の場合、 体の重心が後ろにかかっていると、疲労骨折部分を刺激して痛みを引き起こしがちになりま す。だから、関節包内矯正で仙骨の角度を調整する際、疲労骨折部分に負担がかからないよ うに重心を微妙に前寄りに移動させるのです。すると、日頃、しつこい痛みに悩まされるこ ともなくなってきます。 そのほか、腰椎分離症・すべり症では、レーザー治療や手術などの手段がとられることも あります。ただし、手術は、どの治療でもよくならなかった場合の最終手段と考えるほうが いいでしょう。 先ほどのK子さんの例ではありませんが、腰に痛みがあると、どんな活動をするのにもい つもの元気がなくなってきてしまうもの。そうならないように、早め早めに痛みを解消させ る手を打つようにしてください。
33歳・女性・美容師
R香さんが初めてぎつくり腰になったのは3年前の春。朝、歯を磨いている際、大きなく しゃみをした瞬間、刺されでもしたかのような強い衝撃を腰に感じたのです。R香さんは人 気ヘアサロンで美容師として働いています。当時は卒業式シーズンでかなり忙しく、朝から 晩まで立ちっばなしで腰に相当な疲れを抱えていたことは確か。でも、それまで、ぎっくり 腰なんて、年寄りがなるものだと信じていたR香さんは、まさか自分が見舞われるなんて、 夢にも思っていませんでした。 腰の痛みはひどく、ちょっと体を動かすだけでも痛みます。おまけに、ちょうどその頃は 花粉症に悩まされていた時期で、くしゃみや咳をするたびに腰に響くような激痛が走ります。 R香さんは仕方なく3日間仕事を休み、患部に湿布を貼って寝て過ごしました。繁忙期だと いうのに、職場の人たちに迷惑をかけることになってしまい、申し訳なさや情けなさで落ち 込んで過ごしたことを覚えています。 しかし、事はそれで済みませんでした。以来、R香さんは仕事で疲れがたまるたびにぎっ くり腰を繰り返すようになってしまったのです。仕事中、ドライヤーを手に取ろうとした際 にギクッときたこともありますし、玄関前で落としたカギを拾おうとしたとたんにギクッと きたこともあります。「ギクッ」がきたら、そのたびに仕事を休むほかありません。多くの 人に迷惑をかけることはわかっていても、体が動かなくてはどうしようもないのです。 おまけに腰の状態は悪くなる一方。仕事中などは、腰だけでなく脚にもしびれを感じるよ うになってきましたし、彼と映画を観に行ったときなど、腰が痛くて終わるまで座っていら れず、泣きながら途中で飛び出してしまったこともあります。 困り果てたR香さんは、整形外科を受診。腰椎椎間板ヘルニアと診断され、医師からは手 術を受けてみてはどうかと勧められました。それまで〝ただ、腰が弱いだけ″と思っていた R香さんは「手術」と聞いてびっくり。腰痛のつらさは身にしみていたものの、手術をしな くてはいけないほどの大ごとだとは思っていなかったのです。 今、R香さんは、手術を受けるかどうかで悩んでいます。これから自分の腰がどうなるの かと考えると不安がふくらむばかり。この先も腰のトラブルと縁が切れなかったらと思うと、 仕事を続けられるかどうかはもちろん、結婚できるかどうか、出産できるかどうかさえ不安 になってきてしまうのです。 では、どんな対策を取ればいいのか。 関節包内矯正であれば、手術をすることもなく、こうした問題を解決することが可能なの です。 先に述べたように、腰椎の椎間板が悲鳴を上げてしまう大きな原因は、仙腸関節がロッキ ングして機能していない点にあります。ですから、関節包内矯正で仙腸関節のクッション機 能を回復させると、荷重負担を仙腸関節が分担してくれるようになって、椎間板がプレッシ ャーから解き放たれるのです。 しかも、椎間板がプレッシャーから解放されると、はみ出たヘルニアが自然に元の鞘に戻 つていくことをみなさんはご存じでしょうか。 関節包内矯正では仙骨を微妙に動かすことによって全身にかかる荷重を分散させていくわけですが、この際、腰椎のどこにヘルニアが出ているかを把握したうえで、腰椎にかかる荷重バランスを調整することもできます。たとえば、腰椎の左斜め後方にヘルニアが出ている場合、反対側の右斜め後方に体重が乗るように、微妙に仙骨の角度を調整するわけです。すると、左側にばかりかかっていた荷重が弱まり、ヘルニアがプレッシャーから解放されて自然に元の位置に戻っていくようになるのです。 ヘルニアは、脊髄の神経に触れない限り、痛みやしびれを引き起こすことはありません。 ですから関節包内矯正を行うと、神経に触れていた部分のヘルニアが離れ、それまで悩まさ れてきた痛みやしびれが解消していくわけです。 つまり、椎間板ヘルニアは、手術をしなくても治せるということ。それに、私が治療する 場合、関節包内矯正を行った後、患部の椎間板に負担をかけないための体重の乗せ方のコツ や歩き方なども指導しますので、ほとんど再発することがありません。椎間板ヘルニアの場 合、長年症状を引きずっていたり、手術と再発を繰り返していたりする人が少なくありませ んが、問題の根本的解決を望むのであれば、手術を考える前に関節包内矯正を受けてみても いいのではないでしょうか。 ただし、関節包内矯正での椎間板ヘルニア治療は、少なくとも1カ月程度の時間をかけて じっくり治していくのが普通です。時間がない方の場合は、手術によって少しでも早く目の 前の痛みをすっきりさせるのもアリだと思います。なお、テニスボールを使った簡易版・関 節包内矯正でも、ある程度までは効果を上げることができます。ぜひ、自分に合った選択で、 決してあきらめることなく痛みを撃退していくようにしてください。
27歳・女性・事務職
腰の垂だるさがなかなかとれない。 S美さんがそんな不調を感じ始めたのは数年前から のこと。専門学校を出て、OA器機を扱う会社に就職してから5年が経ち、毎日の仕事ぶり が板についてきた頃でした。 S美さんの仕事はデータ入力が中心で、朝9時から夕方5時までデスクのパソコンに向き 合いっぱなしでキーボードを打ち続けています。そういう仕事が来る日も来る日も続くわけ ですから、腰痛や肩こり、目の疲れは職業病みたいなもの。他の同僚も同じような不調を訴 えていたので、あまり気にすることもなく、まあ、少しくらいの腰の疲れはしょうがないか と考えていたのです。そして、腰の張りやだるさがひどくなったときには、帰りがけにマッ サージ店に行って体をもみほぐしてもらっていました。そうやって「腰がつらい→マッサー ジに行く」というパターンを数年の間ずっと繰り返していたわけです。 ところが、ここのところ、症状が一段とひどく感じられるようになり、マッサージをして もらっても症状が改善しなくなってきたのです。その症状は、腰に鉛でも入ったかのように 重く感じられ、疲れてくると腰の左右が痛くなってくるというもの。また、腰だけでなく、 肩や背中のこりもひどく、仕事中は鉄板でも背負っているかのようにバキバキの状態。おま けに、ここ数年冷え性や生理痛が重くなっていて、腰の症状に加えてこうした体調不良が重 なったときには、つらさのあまり「もう、誰か私を助けてー」と叫んでオフィスから逃げ出 したくなるほどでした。 こんな状態では、いずれ仕事を続けられなくなってしまうと感じたS美さんは、最寄りの整形外科を受診。しかし、レントゲンで検査をしても腰の骨には異常は見られませんでした。 医師からは「腰に疲れがたまっているのでしょう」と言われて、湿布薬を処方されただけ。 悩みの諸症状はまったく改善しませんでした。ほかのもっと大きな病院にも行ってみました が、やはり異常は見られず、問題は何も解決しないまま……。 最近はパソコンのキーボードを叩いていると、ほんの1時間仕事をしただけでも腰が痛く なるようになってきました。でも、「腰には異常なし」という診断なので、上司に苦痛を申 し出るという行動もなかなかとりづらい。S美さんは、〝いったい、これからどうすればい いの?〟と、すっかり仕事を続けていく自信を失ってしまっているようです。 では、どんな対策を取ればいいのか。 まず、いちばん大切なのは腰を酷使しすぎないこと。日頃の仕事において、同じ姿勢をと り続けないよう工夫しなくてはなりません。 よく言われていることではありますが、座り続けて仕事をすることの多い人は、20~30分 に一度は席を立ち、軽くストレッチをしたり歩いたりするなどの習慣をつけてください。ち ょっと体を動かすだけでも、腰の筋肉への血行が回復して張りやこりがやわらぎます。これ を習慣にするだけでも、腰の状態は大きく変わってくるはずです。 そして、デスクワークの際の姿勢にも注意しなくてはなりません。とくに、前かがみの姿 勢を長く続けるのは、腰を疲弊させるもと。浅く座って、背中を丸めてパソコンに向かうの もいけません。こうした姿勢だと、骨盤が寝てしまい、荷重負担が腰椎に集中してしまうこ とになるのです。 正しい座り姿勢は、背筋を伸ばし、骨盤を立てて座るのが基本。首もできるだけまっすぐ 前を向く位置をキープしてください。目線が水平になるように、パソコン画面の高さや椅子 の高さをうまく調整するようにするといいでしょう。なお、骨盤を立てるには、椅子の座面 の仙骨が当たるあたりに丸めたタオルなどを挟んで座るのがおすすめ。 また、先に述べたように、腰の筋肉や椎間板に過剰な負担がかかってしまう原因 は、仙腸関節がロッキングしているためと考えられます。そもそも、仙腸関節がロッ キングする最大の原因は「長時間の座りつばなしでの作業」です。毎日座り続けて仕 事をしている方のほとんどは仙腸関節が十分に機能していないと言ってもいいの ではないでしょうか。また、先ほどのケーススタディで、S美さんが、生理痛や冷え 性、肩こりなどの不調を訴えていたのにも、仙腸関節の不具合によって血行が悪く なっていたことが関係していると見られます。仙腸関節の不具合による数々の不調 は、往々にしてS美さんの年齢ぐらいで一気に噴出してくることが多いのです。 ですから、まずは関節包内矯正を行って、仙腸関節のロッキングを解消させることをおす すめします。実際に治療を受けられればそれに越したことはありませんが、先に紹介した「簡 易版・関節包内矯正」を行うだけでも、かなり状態が改善するはずです。筋筋膜性腰痛や椎 間板症の段階であれば、痛みなどの症状がとれるのにそうは時間がかかりません。すでに症 状にお悩みの方は、とにかく試しに「簡易版・関節包内矯正」を朝晩続けてみて、その効果 のほどを自分の体で確認してみるといいでしょう。 また、「簡易版・関節包内矯正」は、「デスクワーク腰痛」の予防習慣としてもうってつけ です。とりわけ、毎日の仕事として、どうしても長時間のパソコンワークが避けられないみ なさんは、腰痛のある・なしにかかわらず、これを習慣づけてしまうことをおすすめいたし ます。 それともうひとつ、「デスクワーク腰痛」の予防と解消のために、習慣にしておきたい体 操をご紹介しておきましょう。 床にうつ伏せになつて 両手をついて上体を起こすエクササイズを「オットセイ体操」と呼んでいます。ちょうど、 オットセイのようなポーズをとるためにこの名がつけられています。「デスクワーク腰痛」 の場合、普段は腰椎の前方向にばかり荷重がかかりがちなのですが、この体操には、そうし た腰椎のバランスを後ろ方向へ引き戻して矯正する効果が期待できるのです。これを1分間 も続けていれば、背中や腰のこりや張りがほぐれてくるはず。ぜひ、「簡易版・関節包内矯正」と併せて取り組んでみてはいかがでしょうか。
50代・女性
「20年以上前から原因のわからない頭痛と肩痛、首痛に悩まされていて、いく つもの病院を回りました。ある病院ではストレートネックが原因だとも言われ ました。でも、鎮痛剤や筋弛緩剤でいったんはラクになってもすぐに元に戻っ てしまい、症状はいっそうひどくなる一方。いつもその繰り返しでした。それで、 もうこのままつき合っていくしかないのかなと半ばあきらめていたんです。で も、『ストレートネックは治療できる』 と聞いてびっくり……もちろんうれし いはうれしいのですが、できればもっと早くこのことを知っていたかった。な んだか20年以上症状に悩まされてきたこれまでの時間を返してほしいような複 雑な気持ちです。
40代・男性
「ストレートネックという言葉は知っていましたが、まさか自分がそうだとは 思ってもいませんでした。しかも、長年毎日のように悩まされ続けてきた肩や 背中のハリ、、腰の痛みもこれが原因だったなんて……。長い時間車を運転する 仕事なので、肩や膜を痛めると本当にたいへんなんです。ハンドルを握れなく なったら生活に困ることにもなりかねません。知らないまま悪化させなくてよ かったと思っています」
20代・女性
「わたしは、首と肩の痛みとこりが耐えられないくらいひどくて来院したので すが、『ストレートネック』だなんて初めて聞きました。周りにも頭が前に出 ている友達はいましたし、別に普通のことだと思っていたんです。でも、酒井 先生の説明を聞いて納得。先生の説明とこれまで自分が経験してきた数々の不 調がすべて一致したからです。思えば、受験勉強のときもこりや痛みにさんざ ん悩まされましたし、就職試験のときに首が痛くて気持ち悪くなってしまい、 面接に失敗したこともありました。もっと早く首の異常に気づいていれば、今 頃適った人生を送っていたかもしれません」
30代・女性
「ずっと以前、友人が『ストレートネックだと肩がこるよ』と言っていたこと があって、そのときは 『ストレートネック? 何それ』 というくらいの感じで 受け流していたんです。でも、まさか自分がこれによってさんざん悩まされる ことになろうとは……。ほとんど毎日、一日中パソコンを打っている仕事に就 いていたので、首、肩、腰がこったり痛んだりするのは職業病のようなもの。 でも、年を追うごとにだんだん症状がひどくなり、頭痛、吐き気にも悩まされ るようになってきて、整形外科で『ストレートネック』を指摘されたときには、 もう仕事を続けられないようなボロボロの状態でした。もう少し早くストレー トネックの怖さに気づいていれば手の打ちようもあったでしょうに……。でも、 酒井先生から『ストレートネックは治る』と伺ってひと安心。これから一生懸 命がんばって治していくつもりです」